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2025.12.10
株式会社LIRHa 松宮一平さんインタビュー
株式会社LIRHa
松宮一平さんインタビュー
【ひらっく利用者インタビュー】

話し手:松宮さん
【プロフィール】
松宮一平さん (株式会社LIRHa 代表)

聞き手:アサカワミト
<インタビュアー>
アサカワ ミト(コミュニティマネージャー)
ひらっくコミュニティマネージャー。受付業務をしながら、施設の紹介、シェアオフィス会員などを始めとした利用者さまへのインタビューなど、つながる場と機会を作っている。ランチ会をはじめとした、交流イベントの企画、司会進行なども担当。
ひらっくコワーキング利用者さまにインタビュー
枚方市立地域活性化支援センター「ひらっく」は、新たな事業の創出に加え、地域産業の振興を図るため、起業相談や売上アップ、資金繰りなど経営に関するさまざまな相談にお応えしています。
さらに、多くの方の知見を活用できるコミュニティ型の創業支援施設として、創業支援のワンストップ相談窓口となり、専門家による経営相談、人材及び組織の育成支援等を行うとともに、利用者同士が交流でき、ビジネス面での相乗効果が期待できる機会を創出しています。またセミナー・講演会の開催や会議室、セミナールームの貸し出しも行っています。
今回は5階ひらっくコワーキング利用者さまのインタビューをお届けします。
起業や経営の相談ができる枚方市立地域活性化支援センター「ひらっく」のコワーキング・シェアオフィスは、利用者が気軽に集まり、コミュニケーションを通して、お互いのアイデアやビジネスを磨き合い、互いの起業や事業の成長につなげることを目指します。
今回は株式会社LIRHa 代表の松宮一平さんにお話をお伺いしました。
松宮さんは、ひらっくに相談に来られたことをきっかけに、その熱意から通常では準備に1年程度はかかるところをわずか半年で開業し、店舗をオープンさせました。そこにはひらっく相談員による支援とインキュベートルーム入居者による様々なサポートがありました。

店舗完成記念のお披露目会におじゃましてインタビュー



今回は、2025年8月に完成した店舗「リルハ・トレーニングラボ牧野駅前」のお披露目会におじゃましてインタビューをさせていただきました。
このお披露目会には、ひらっくスタッフの高崎をはじめ、店舗完成に向けてサポートをされたインキュベートルーム入居者の皆様もお越しになられて、座談会形式でインタビューを実施。

松宮さんの熱い思いや、皆さんがどういったサポートをされたのかなどのエピソード話が、和気あいあいとした雰囲気の中で展開されました。
“暮らしの再現”を大切にする、挑戦的なリハビリ施設

ミト:松宮さん、この度は店舗完成おめでとうございます。そして今回は店舗の完成に貢献された皆様にもご同席いただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
松宮さん:よろしくお願いします。皆様もお忙しいところお越しいただき本当にありがとうございます。
ミト:それでは松宮さん、まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。
松宮さん:株式会社LILHa代表 松宮一平です。2025年10月にこの「リルハ・トレーニングラボ牧野駅前店」をオープンさせました。
ミト:「リルハ・トレーニングラボ」は、どんな施設なのでしょうか?
松宮さん:「暮らしを再現して、からだと頭を同時に鍛える」通所介護施設です。
ミト:“暮らしを再現”というのは、あたり前のように思えるのですが、実は違ったりするんでしょうか?
松宮さん:そうなんです。フラットな床でのリハビリだけでは、実際の暮らしにある動きを十分にカバーしきれないんですよ。たとえば人工芝などの不安定な地面、バスに乗ったときの揺れ、家ごとに異なる玄関の段差など、日常生活や外出先には実にさまざまな場面があります。
そこでこの施設では“暮らしを再現したリハビリ”を通じて、生活の中に潜む動きを忠実に再現し、利用者さんに実際の場面を“体感”していただいています。
そこに運動とさらに脳トレを組み合わせることで『できた』という達成感を日常に持ち帰ってもらい、『行けた』という自信へとつながっていく。それを実現させるために「リルハ・トレーニングラボ」を立ち上げました。

ミト:確かにリハビリっていうと、手すりがあってそれに掴まりながらフラットなところを歩くというイメージでしたが、実際の生活ではそんなところばかりではないですもんね。盲点でした。
松宮さん:従来のデイサービスも体操やマシントレーニングがしっかりしていて、それはそれでとても良いところなんです。でも実際の暮らしの中には、運動をするシーンとは違った様々な場面や状況が待っています。そこで不安が残ってしまって、外出を控える方もいらっしゃったりします。
なのでこの施設を訓練の場で終わらせるのではなく、暮らしそのものに直結する力をつけていただきたいと思っています。『暮らしをリアルに再現すること』『誰もが挑戦できる環境を整えること』を大切にして、利用者さんの“できた”が生活につながり、“行けた”が人生へと広がっていく。そんな支援をしていきたいと考えています。

ミト:素晴らしいですね。こちらの施設はどういった方が利用できるんですか?
松宮さん:リルハ・トレーニングラボは、車イスだから…麻痺があるから向いていないなど、そんな区別はありません。『もう一度あの場所に出かけたい』『孫をだっこしたい』『旅行に行きたい』『もっと楽に生活できるようになりたい』といった思いをもっている方すべてを対象にしています。
介護保険をお持ちで、運動やリハビリの場を探している方なら、そのニーズに寄り添って一緒に取り組んでいける、そういった施設になっています。

ミト:具体的にはどういった設備やプログラムがあるんでしょうか?
松宮さん:一般的なデイサービスでは運動や体操、レクリエーション、入浴、食事、マッサージが中心なんですが、私たちはそこに特化していません。その代わり“暮らしを再現したリアルな環境”での訓練にこだわっています。
設備としては、大型プロジェクターを使った臨場感のあるリハビリによって没入感を高めてもらい、将来的には風・音・香りといった五感も活用して、常にアップデートできる環境を整えていきたいと思っています。“ラボ”と呼ぶのは、これが所以なんです。
加えて、医学的な研究やエビデンスに基づいて開発された脳体力トレーナー『CogEvo』も導入しています。見当識・注意力・記憶力・計画力・空間認識力の5つの認知機能をバランスよくチェックしながら、データに基づいて楽しくトレーニングできる環境を整えています。
こうして身体と脳の両面を支えて、五感に働きかける挑戦的な取り組みをする。これがリルハならではのプログラムになります。

壁一面に大きな映像を写して、臨場感あるシーンをしながらリハビリをしてもらえます。
きっかけは「父の介護」
ミト:ところで、“暮らしを再現したリハビリ”という視点や、介護のお仕事を始めたきっかけは何かあったのでしょうか?

松宮さん:きっかけは、父の介護でした。私が25歳の時に父が倒れて半身マヒとなり、半年間の入院・リハビリを経て自宅に戻ったのですが、そこにはバリアだらけの生活が待っていました。
ちょっとした段差でつまずいたり、お風呂に入るのも一苦労で、在宅生活の厳しさを痛感しました。廃用症候群により、身体面・精神面の機能低下リスクが高まることを踏まえ、リハビリに特化したデイサービスを探しましたが、当時の私たち家族は、『怪我をせず、安全に帰ってきてくれれば十分』というところにニーズがとどまっており、本当に必要な支援には出会えなかったんです。
そういった経験から、自分の育った枚方で、介護や障害の悩みに寄り添い、一緒に課題を乗り越えられる場所を作りたい、そう強く思うようになりました。
それがこの事業を始めるきっかけとなった原点ですね。その決意を固めたのは27歳の時でした。
ミト:そうだったんですね。じゃあ今こうしてようやく、スタートラインに立ったという感じなんですね。

松宮さん:そうですね。事業はこれからがスタートですが、すでに多くの方から“要介護になる前に運動したい”“自費でもいいからやりたい”という声をいただいています。
中長期的には、子ども向けのデイサービスも視野に入れていますし、さらに先には、機能性が高くデザイン性にも優れ、コストパフォーマンスの良い福祉用具の開発もしたいと考えているので本当に、これからがスタートです。
松宮さんがお仕事するうえで大切にしていること

ミト:お仕事をする上で心がけている大切なことはありますか?
松宮さん:仕事をする上で意識していることは大きく3つあります。
まず1つ目は「完璧を求めすぎないこと」です。
最初から100点を目指すのではなく、まずは80点に最速で到達することを大切にしています。そのうえで、余裕があるときに最後の仕上げに磨きをかけます。
2つ目は「真っ白にする勇気を持つこと」です。
積み上げてきたものに欠陥が見つかったら、迷わず崩してやり直す。勇気をもってゼロからやり直す方が、結果的に正しいものをつくれると考えています。
3つ目は「整理整頓」です。
モノはもちろん、情報や時間、要る要らないの判断も含めて、整理することを意識しています。複雑に見える仕事も、細かく分解すればシンプルな作業の積み重ねです。不安や迷いが生まれたときは『なぜ?』を繰り返して原因を明らかにし、整理することで前に進めるようにしています。
この3つを常日頃から心がけていることで、日々の仕事をスピーディーかつ冷静に進められていると思います。

ミト:仕事のバランスを保つための秘訣はありますでしょうか?
松宮さん:仕事のバランスを保つ秘訣は、まず「楽しむこと」です。プライベートも仕事も同じように楽しむことで、どちらかに偏りすぎないようにしています。
もう一つは「抱え込みすぎないこと」。今回この施設の立ち上げの中で学んだのは、頼ることや甘えることの大切さでした。正直言うと、やっぱり日々不安になることも少なくありません。そんな時に信頼できる人に相談したり、愚痴を吐いたり、自分で『しんどいなぁ』と口に出すことで気持ちを整理しています。
とくにひらっくの高崎さんにはたくさん支えていただきました。融資や経営課題で不安があった時や、判断に大きなミスがないか確認してもらったり、時には面接に付き合っていただいたり、忙しい中プライベートの時間を割いていただき、子供同席で相談したり、寄り添って応援してくださったことが大きな励みになりましたし、本当に感謝しています。

本当に仲のいいお二人です。
ひらっくは、補う方法を一緒に考えてくれる場所
ミト:ひらっくを知ったきっかけはなんだったのでしょうか?
松宮さん:きっかけはコロナ禍です。テレワークになり少し時間に余裕ができたことで、改めて“自分で事業をしたい”と考えるようになりました。そこで創業について調べてみたのですが、その時に「これは一人では到達できないな」と気づきました。その時点で、枚方市に創業支援や補助制度がないかを探し始めたのが最初の一歩です。

ミト:実際ひらっくを利用したことで、良かったことはありましたか?
松宮さん:結論、決意が固まったことです。相談内容に対して、具体的な提案や可能・不可能を現実的に示していただけたことで、“これなら挑戦できる”と決意できましたね。
みなさん創業を考えるときに、“自分の持っている武器で本当に戦えるか? ”と不安になることが多いと思います。そこで大事なのが“足りない部分=ダメ”ではなく、“それをいかに補うか”だと思っているんですが、ひらっくはまさにその“補う方法”を一緒に考えてくれた場所です。
強みと弱みをしっかり自覚している方にとって、ひらっくはまさに“鬼に金棒”のような存在です。
ちなみに、高崎さんは“鬼が金棒もって算盤弾いている”のような方で、私にも数字にも厳しいのですが、その分、抜群に心強くおすすめできる方です。笑

ひらっくスタッフ高崎が繋げたインキュベートルームのメンバー
ひらっくに相談し始めてから一年足らずで「リルハ・トレーニングラボ」を立ち上げることができた松宮さん。そこには、ひらっくスタッフ高崎が繋げたインキュベートルームのみなさんの力添えがありました。

松宮さん:相談する度に高崎さんが「なにが不安ですか?」と聞いてくれて、インキュベートルームの方を紹介してくれたんです。
たとえば「建築やリフォームについてよくわからない」と相談すると、一級建築士の小西さんを紹介してくれたり、チラシ、SNS、HPが必要になってきたときには、デザイナーの菅原さんや玉垣さんを紹介してくださいました。そんな感じで次々とインキュベートの皆さんにご協力いただく形になりました。
高崎 健太(ひらっく)

高崎:インキュベートルームの入居期間は3年間なのですが、3年間使っていただいたらそれで終わりにするのではなく、この3年の間にも入居者さんから相談を受けたり、こちらからも相談させてもらったりすることで、今後も広がりや関わりをお互いに持って関わっていけたら、私たちとしても嬉しいと思っています。
松宮さんから相談を受けた際、インキュベートの皆さんに手伝ってもらえそうなことが多いと思ったので、それでお繋ぎしていきました。
松宮さん:本当に皆さまのおかげです。
ミト:それでは皆さんがどんなお手伝いをされたのか、お聞きしていきたいと思います。

小西 明 さん (小西明建築設計事務所 & FUKA INTERIOR DESIGN )

小西さん:設計とデザインのお仕事もしています、小西です。
ミト:デザインもされているんですね。
小西さん:リルハさんのロゴデザインもみんなで考えて、最終まとめさせていただきました。
ミト:あ、このデザインはみんなで考えたんですか。素敵なエピソードですね。

小西さん:施設に関しては、介護保険の適応に準じた施設に仕上げなければいけなかったので、そのために結構、松宮さんと一緒に市役所や消防署など、あちこち飛び回りました。
松宮さん:キャンプの話とかしながら、楽しいドライブでしたね(笑)

玉垣 侑也さん (株式会社kanaL)

玉垣さん:採用SNSの運用代行をしています、玉垣です。僕もロゴデザインの意見を出させていただいたり、SNS運用の相談を受けさせていただきました。
松宮さん:30分ほどのヒアリングで、丁寧にSNS運用の考え方やタイミングなどを教えてもらえて勉強になりました。

https://www.hirakata-kassei.jp/blog/2025/08/90063/
菅原 優斗さん (株式会社PENGUIN WORKS)

菅原さん:デザイン全般や、動画のお仕事もしています菅原です。今回はリーフレット作成や、ホームページの相談を受けました。
松宮さん:リーフレットありがとうございます。校正、私でとまっていてすみません(笑) ホームページの相談についてもめちゃくちゃ助かっています。

https://www.hirakata-kassei.jp/blog/2025/10/90076/
野川 哲也さん(合同会社シナジー・エフェクト)

野川さん:障害をお持ちの方に向けた相談事業所「トラマナ相談室」を運営しています野川です。同じ福祉系のお仕事ということもあり、ケアマネージャーさんのご紹介や、今後も色々と相談や意見交換ができたらと、お話を聞いたりアドバイスをさせていただきました。
松宮さん:同じ業種の方と繋がれるのは本当にありがたいんですよ。話していると先生みたいで安心します!今後もよろしくお願いします。

小辻美穂さん(ムーンファクトリー/店舗名:atelier TSUKI)

小辻さん:小辻です。海外向けに着物や帯、本金糸を販売しています。今回は店舗の日よけ幕を制作しました。本金糸という金箔を巻いた糸で、蝶の刺繍を6羽あしらえました。
ミト:6羽というのは意味があるんですか?
松宮さん:あります。リルハの5つの理念「生活・包括・現実・思い合う心・本質」に利用者さまも加えて、リルハが絶対に大切にしたいことを6つの金の蝶に込めました。

こちらが、こつじさんが刺繍した6羽の蝶があしらわれた日よけ幕。

こつじさん:本金糸は普段主役として引き立てるために使うことが多いのですが、今回は目立ちすぎないよう、ロゴを引き立てるように刺繍しました。

https://www.hirakata-kassei.jp/blog/2025/06/90050/
轟美由貴さん(合同会社もも太郎)

轟さん:訪問介護事業をしています、轟です。今回は、介護員さんをご紹介しました。
ミト:紹介された方は実際に雇用を?
松宮さん:はい、雇用しました。事業を始めるうえで大変なことのひとつが、スタッフの雇用なんです。そこを轟さんにご紹介いただけて、しかも良い方をご紹介いただけたので本当にありがたかったです。
轟さん:お話を聞いたら、私も働きたいぐらい素敵な事業をスタートされることがわかったので、その日に会った同業のお友達に聞いたら、会うってなって、その後すぐ決まりました。
ミト:すごいスピード感ですね。
松宮さん:おかけで2週間程度で採用活動を終わらせることができました。そんなこと普通ないです。

そんなインキュベートみなさんのサポートによって、約半年というスピードで開業することができたリルハ・トレーニングラボ。
これから様々な方を助ける存在になっていくことと思います。

今後について

ミト:今後の目標はありますでしょうか?
松宮さん:はい。夢の実現のために、17店舗を目指します。
最終的な夢は、私の会社から経営者が3人育ち、それぞれが事業を担いながら協力し合うことです。その仲間と出資し、山田池公園に、子どもから高齢者まで安心して使える“ユニバーサルデザインの日本一規模の大型アスレチック遊具と健康器具”を設置し、世代を超えて成長と健康に貢献することです。
創業の夢は叶いましたので、今は軌道に乗せた先にある、こうした次の夢を見据えています。
ミト:すごい大きな夢ですね!最近も山田池公園の遊具がリニューアルされて賑わっていましたが、さらに充実してもらえると嬉しいですね。ぜひ叶えてもらいたいです!
では最後に、これから新しくひらっくを使おうと思っている人へメッセージをください。

松宮さん:とにかく気負わず、まずは相談してみることです。私は最初、相談すること自体に少しハードルを感じていましたが、実際に足を運んでみると、どんな些細なことでも丁寧に聞いてくださり、具体的な提案まで現実的に落とし込んでいただけました。そのおかげで“これなら挑戦できる”と決意できたんです。
創業は一人では不安がつきものですが、ここでは自分の強みや弱みを客観的に整理でき、足りない部分をどう補えばいいか一緒に考えてもらえます。ですから、完璧でなくても大丈夫です。安心して一歩を踏み出してみてください。
ミト: 松宮さん、ありがとうございました。そしてインキュベートの皆さんもお付き合いいただきありがとうございました。

お披露目ではみんなで日よけ幕の取り付けや、ひらっくスタッフ高崎のアイデアで全員青い服を来て参加していたり、最後には観葉植物をプレゼントする場面があったりと、松宮さんの大きなスタートに向けてお祝いムードで和やかでした。
今後の松宮さんのご活躍を応援しています。

▼リルハ・トレーニングラボについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
Webページ https://www.lirha.co.jp/
