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2026.04.06
Authentic Hues Shima Tokikoさんにインタビュー
Authentic Hues
Shima Tokikoさんに
インタビュー
【創業実践塾 卒業生インタビュー】

話し手:Shimaさん
Shima Tokikoさん(Authentic Hues)
アメリカで約30年生活後、2020年末に日本へ移住。MBAおよびUniversity of Edinburgh修士号取得。外資系企業日本法人での実務経験を経て、現在は枚方でパーソナルカラー診断「Authentic Hues」を運営するほか、海外企業の日本法人設立支援や事業運営アドバイザリーにも携わっている。

聞き手:村西
村西朱夏
ひらっくスタッフ。受付業務をしながら、施設の紹介、シェアオフィス会員を始めとした利用者さまへのインタビューなど、つながる場と機会を作っている。オシゴトークをはじめとした、交流イベントの企画や月刊ひらっく新聞なども担当。

書き手:大澤リサ
大澤リサ(さわ/フリーランスライター)
企業の取材・インタビュー記事を軸に、採用・広報コンテンツなどを執筆している。強みは、聞き手として相手の言葉を引き出し、話すだけで広報・採用に使える文章へ落とし込むこと。自身もひらっくを利用し、経営相談などを通じてサポートを受けている。
創業実践塾の卒業生のみなさまにインタビュー
枚方市立地域活性化支援センター「ひらっく」は、新たな事業の創出に加え、地域産業の振興を図るため、起業相談や売上アップ、資金繰りなど経営に関するさまざまな相談にお応えしています。
さらに、多くの方の知見を活用できるコミュニティ型の創業支援施設として、創業支援のワンストップ相談窓口となり、専門家による経営相談、人材及び組織の育成支援等を行うとともに、利用者同士が交流でき、ビジネス面での相乗効果が期待できる機会を創出しています。またセミナー・講演会の開催や会議室、セミナールームの貸し出しも行っています。
今回は枚方市で、創業・起業の成功をめざす「きらら創業実践塾」の参加者さまにインタビューをします。
きらら創業実践塾は、創業希望者、創業間もない事業者、第⼆創業を⽬指す事業者・後継者等を対象として、ビジネスプランの作成から実現に⾄るまでを総合的に⽀援する通年講座です。
創業に必要な基礎知識を習得し、ビジネスプランを1年間かけて組み⽴てます。
枚⽅ならではのビジネスの創造に向けて、新たな地域の担い⼿の育成や、受講者間および地域で創業した卒業生・専⾨家とのネットワークを構築することで、地元で創業しやすい環境をつくり、地域の発展に貢献していくことを目指しています。
そんな創業実践塾の参加者さまから、今回は Authentic Hues の Shima Tokiko さんにお話をお伺いしました。

(写真左 ひらっく上本・右 Shimaさん)
アメリカで約30年にわたり、上場企業の財務・会計の仕事に携わってきたShima Tokikoさん。日本に戻ったあと、次の仕事として選んだのは、これまでのキャリアとは異なるパーソナルカラー診断でした。
拠点に選んだのは、大阪市内でもアメリカでもなく、枚方・牧野。新しい挑戦に不安はつきものです。Shimaさんもまた、「できるのかな」という思いと向き合いながら、一歩を踏み出してきました。
「やらずに後悔するより、やって後悔する方がいい」。そう語るShimaさんに、会計の仕事からパーソナルカラー診断へと進んだ背景、そしてきらら創業実践塾で得た学びをご紹介します。
転職は成長の証

村西: 本日はよろしくお願いします。まず、自己紹介と今のお仕事、これまでの経歴をお伺いできますか?
Shimaさん: 現在の仕事はパーソナルカラー診断です。これまでの経歴とはまったく違います。大学からずっとアメリカにいて、2020年の12月に一旦日本に戻ってきました。 すでにアメリカ国籍になっているので帰国というより、逆輸入状態ですね。
村西: アメリカの大学に行かれたきっかけは何だったのでしょうか?
Shimaさん: ただ単にアメリカに行きたかったんです(笑)。 でも、英語だけできても仕事にならないと思い、大学でビジネスや会計を専攻しました。 会計を知っていればどこの会社にも入れますし、自分がやりたいからというより、どこでも使えるスキルだからという理由で選びました。アメリカでは約30年、主に上場企業で財務や会計の仕事をしていました。簿記ができる事務員みたいなお仕事です。
村西: 戦略的に会計を選ばれたのですね。同じ会社に長く勤められたのですか?
Shimaさん: いえ、アメリカでは転職してステップアップしていくのが普通で、私も3〜4年スパンでたくさんの会社を経験しました。 日本で履歴書を見せると転職歴の多さに驚かれるかもしれません。でも、アメリカでは転職するごとに役職が上がっていくと成長の証として見られます。職務経歴書を出して何をやっていたかを伝えることが大切なんです。
村西: Shimaさんは、どんなスキルを足してステップアップしていかれたんですか?
Shimaさん:新しいところに行くたびに、自分に足りないものや新しいことを学んでいました。会計といっても会社によってやり方が違いますし、上場企業とそうでない企業では忙しさもまったく違います。アメリカの上場企業はSEC(証券取引委員会)への会計報告の期日が厳しいので、みんな残業しながら必死に仕事をしていて…、シビアな環境でした。
村西: 会計に面白さを感じられていたのですか?
Shimaさん: いえ、そんなことはないです。私は「自分の生活費に足る仕事かどうか」で考えます。キャリアを変えて給料が少なくなったり、急にミュージシャンになりたいと言ってもお金が入ってくるかわからないじゃないですか。私にとって会計は、安定して仕事ができる職種だったというだけです。数字が合った時に「やった!」といったやりがいはありましたけどね。

村西: 昔から数学は得意だったのですか?
Shimaさん: いえ、そんなことはまったくないです。実は、会計って数学ではなく足し算・掛け算の算数レベルなんです。アメリカの大学の一般教養(ジェネラルエデュケーション)の数学のテストは本当に簡単で、電卓を持っていって良いので「電卓を速く叩く練習」をしている人がいるくらいです。私は朝早いクラスが苦手で半分寝ていたのに、テストの点数が良いので先生に不思議がられました(笑)
日本に来た時に街の景観を薄暗く感じた

村西: そこからパーソナルカラーのお仕事には、どうつながっていくのでしょうか?
Shimaさん: 日本に来た時、街の景観や人々の印象が少し薄暗く感じて、「もう少し色があったら面白いな」と思ったのがきっかけです。 パーソナルカラーはアメリカ発祥ですが、日本でもイエベ、ブルベと気にしている人が多いですよね。
そんな時、アメリカ帰りだったので、日本人受けするようなメイクの相談をするために、メイクレッスンに行ったんです。その時に、その先生がパーソナルカラーを診断できる資格を持っていて、興味を持ちました。その方が所属するNPO法人で、外見よりも内面を診断する「カラーアンソロポロジー(色彩人類学)」というアプローチをされていて、おもしろいなと思い、そこから勉強を始めました。
村西: なぜ枚方で起業されたんですか?
Shimaさん: 母親が亡くなり、父親が一人になったので、一人にしておくのは不安だという理由で一時的に日本に戻ることになりました。牧野に両親が住んでいる実家があったので、そこで起業した形です。
村西: 枚方・牧野で起業されたメリット・デメリットを教えてください。
Shimaさん: メリットは人口がそこそこいること。デメリットは、「パーソナルカラー診断は大阪市内の都会に行くものだ」という潜在的なイメージがあることです。枚方でやっているという認知を広める必要があると思っています。
最後のプレゼンが最難関

村西: 「ひらっく」の創業実践塾を知ったきっかけは何ですか?
Shimaさん: 枚方で起業サポートしてくれるところを探していたところ、タイミング良く「ひらっく」の創業実践塾が募集されていたんです。 アメリカではMBAを取得しましたが、何十年も前の話ですし、日本でのビジネスのやり方にも興味があったので応募しました。
村西: 会社員ではなく起業したいと思ったのはなぜですか?
Shimaさん: 日本に来てアメリカ企業の外資系日本法人で働いたのですが、日本独自のしがらみや人間関係などが合わず、何か自分でやった方がいいと考えるようになりました。
村西: では、創業実践塾に参加してみていかがでしたか?
Shimaさん: 私は元々アカウンティング(会計)なので、プログラムにあるマーケティングのレッスンに興味がありました。1年間という配分も良くて、週末に学ぶペースは他の仕事をしている人にも復習の時間が持てるところがいいなと思いました。
村西: 期待以上だったことはありますか?
Shimaさん: 期待以上だったのは同期とつながりです。一緒に講義を受けて意見交換やディスカッションができたのが良かったです。
村西: 大変だったことはありましたか?
Shimaさん: 一番大変だったのは最後のプレゼンテーションです。事業内容を制限時間内に人に伝えるのが難しく、日本語の言葉遣いを考えるのにも苦労しました。思い入れがあるからどうしても内容を短くできずに、モリモリになってしまうんです(笑)。
「できるかな」という不安に直面

村西: 印象に残っている先生はいますか?
Shimaさん:マーケティングの堀越先生の話がおもしろかったです。商品をただ売るだけでなく、「今と将来を考える」「ブームが終わったらどうするか」まで考える視点が勉強になりました。また、田川先生からは「ビジネスを始める前に検証することの大切さ」を教わりました。
田川先生には「最初からお金をかけるな」とアドバイスされていました。それは100%正しいと思いますが、家で作業するのが難しかったので、牧野の家の近くに店舗を借りちゃいましたね(笑)。 でも、堀越先生からは「場所があることは信頼感にもつながるからうまく使いなさい」と言っていただけました。
村西: 学んでいく中でビジネスモデルに変化はありましたか?
Shimaさん: 私は最終的にパーソナルカラーで進めることになったので、変わりませんでしたが、コースをやっている間に疑問がたくさん出てきて、もう一回白紙にして考え直す方もいました。私のパーソナルカラー診断は、外見を診断する一般的なものではありません。ファッションに興味がない人でも、似合う色を知っていれば面接などで顔が輝いて見えるし、内面の傾向も分かるので損はないと思っています。

村西: 心境の変化はありましたか?
Shimaさん: これはぜひお伝えしたいのですが、全員が受講するうちに「できるのかな」という不安に直面します。最初は「知らぬが仏」ですが、知ると「これもあれもやらないといけない」とどんどん不安が増すんです。最初は16名くらいいましたが、最終的には8人くらいになりましたね。
でも、私は、やらないで後悔するより、やって後悔する方がいいと思っています。いつまでたっても準備万端にはなりません。ソフトウェアのデザインをしている友人も、実際に使い始めるとお客さんが予想外の使い方をしてエラーが出ると言っていました。失敗しても結果が残るなら、軌道修正できますから。
同期とのコラボレーションも実現!

村西: 同期の方との交流はどうでしたか?
Shimaさん: 普段なら友達にならないような違う業種や年齢層の方々と仲良くなれて、異なる視点から意見をもらえることが良かったです。自分が考えてもみなかったアイデアや、一般のお客さん目線での正直な意見がもらえる機会は貴重です。
女性は福祉系が多く、男性は養鶏場をやる方や、60歳をすぎて起業しようと思っている方、人事関係で個人事業を法人化しようとされている方など、始める前の人もいれば既に事業を始めている人もいます。
LINEで相談したり進行状況を聞き合えたりする仲間がいるのは心強いですね。同期の方がやっているカフェで、ワンコインのベースカラー診断のワークショップをやらせてもらうなど、コラボレーションも生まれました。
村西:そういった意味でも、対面で学べるのは大きいですね!
Shimaさん: YouTubeなどのオンラインは一方的に聞くだけですが、対面なら「先生ちょっと待って、それどういう意味?」と質問できます。日本人は消極的な方も多い印象ですが、私は発言するのが平気なので、講師の方や他のメンバーさんとも活発にディスカッションできました。他のメンバーにも「歯に衣着せぬ発言がためになった」と言われました(笑)。
自分の軸を持ち続けることが大事

村西:ありがとうございます。それでは、 今後のビジョンを教えてください。
Shimaさん: パーソナルカラーで外見だけでなく内面にもアプローチしたいです。仕事などで精神的に辛い人が、似合う色を知って自分の性格の傾向を学び、「こんな風に考えなくていいんだ」と気づいて心が軽くなるきっかけになればと思っています。日本人は真面目に考えすぎる傾向があるような気がするので、もっと前向きにポジティブに生きるお手伝いがしたいです。
村西: それでは、最後にこれから創業実践塾に参加する人へメッセージをお願いします。
Shimaさん:創業実践塾に参加するなら、 自分が何を持って帰りたいかという軸を持ち続けることが大事だと思っています。コースを進めていくと、みんな悩み始めます。その過程で最初のビジネスプランがうまくいかないと気づくこともあると思いますが、それはそれでいいんですよ。その時に気づいた方が絶対にいいですから。それでもやりたいなら、実践塾で学んでいくという感じですね。
村西: ビジネスプランは途中で変えてもいいということでしょうか?
Shimaさん:はい。変えたりやめたりする方は多いです。今知れたから良かったと考えて、ブラッシュアップして新しいことに挑戦するほうが良いと思います。思いがあれば、起業する手段は何でもいいんですよ。私はたまたまパーソナルカラーだったというだけです。

村西: 最後に、Shimaさんが影響を受けた本などを教えてください。
Shimaさん: ルー・ビーチ(Lou Beach)さんの「420 Characters」という英語の本です。Facebookの「420文字」という文字数制限の中で書かれたショートストーリー集なのですが、制約がある中で「面白い」と感じる作品になっているのが本当にすごいなと思いました。この本を読んで、制約があっても考え方次第だなと思いました。
村西:たくさんお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。
Shimaさん: こちらこそありがとうございました。

編集後記
今回の取材で印象に残ったのは、創業が必ずしも「最初から明確な答えを持っている人」のためだけのものではない、ということです。Shimaさんのお話からは、これまでのご経験を土台にしながらも、新たな分野に挑戦し、学びの中で迷いや不安に向き合ってこられた様子が伝わってきました。きらら創業実践塾が、知識を得る場であると同時に、自分の軸を見つめ直し、次の一歩につなげる場にもなっていることを感じた取材でした。
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