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2026.05.02
ALive 代表 川北麻紀さんにインタビュー
ALive 代表
川北麻紀さんに
インタビュー
【創業実践塾 卒業生インタビュー】

話し手
川北麻紀さん(ALive 代表)
大学卒業後、インテリア関係の企業での営業、地方公共団体の人事課・人材育成課での業務を経験した後、人材育成会社の研修講師を経てALiveを設立。企業・団体における人材育成、女性社員の能力開発研修に注力する他、若手・中堅社員教育を得意とし、人材の育成、定着、活躍に向けたプログラムを幅広く提供している。組織改革&人財育成の総合支援を行う一般社団法人KYOEN 理事。国家資格 キャリアコンサルタント。

聞き手
村西朱夏
ひらっくスタッフ。受付業務をしながら、施設の紹介、シェアオフィス会員を始めとした利用者さまへのインタビューなど、つながる場と機会を作っている。オシゴトークをはじめとした、交流イベントの企画や月刊ひらっく新聞なども担当。

書き手
大澤リサ(さわ/フリーランスライター)
企業の取材・インタビュー記事を軸に、採用・広報コンテンツなどを執筆している。強みは、聞き手として相手の言葉を引き出し、話すだけで広報・採用に使える文章へ落とし込むこと。自身もひらっくを利用し、経営相談などを通じてサポートを受けている。
創業実践塾の卒業生のみなさまにインタビュー
枚方市立地域活性化支援センター「ひらっく」は、新たな事業の創出に加え、地域産業の振興を図るため、起業相談や売上アップ、資金繰りなど経営に関するさまざまな相談にお応えしています。
さらに、多くの方の知見を活用できるコミュニティ型の創業支援施設として、創業支援のワンストップ相談窓口となり、専門家による経営相談、人材及び組織の育成支援等を行うとともに、利用者同士が交流でき、ビジネス面での相乗効果が期待できる機会を創出しています。またセミナー・講演会の開催や会議室、セミナールームの貸し出しも行っています。
今回は枚方市で、創業・起業の成功をめざす「きらら創業実践塾」の参加者さまにインタビューをします。
きらら創業実践塾は、創業希望者、創業間もない事業者、第⼆創業を⽬指す事業者・後継者等を対象として、ビジネスプランの作成から実現に⾄るまでを総合的に⽀援する通年講座です。
創業に必要な基礎知識を習得し、ビジネスプランを1年間かけて組み⽴てます。
枚⽅ならではのビジネスの創造に向けて、新たな地域の担い⼿の育成や、受講者間および地域で創業した卒業生・専⾨家とのネットワークを構築することで、地元で創業しやすい環境をつくり、地域の発展に貢献していくことを目指しています。
そんな創業実践塾の参加者さまから、今回はALive代表の川北麻紀さんにお話をお伺いしました。

川北さんは独立から現在まで10年以上、研修・セミナー講師として企業の人材育成支援やビジネスパーソンを対象としたスキルアップの支援をしてきました。
入塾時は独立して10年という節目を迎えるにあたり、今後の10年、20年先を見据えた上で、事業の方向性を整理し、更なる可能性を模索したいという想いがあったそうです。
また、AIの急速な普及など、社会環境が大きく変わるなかで、「自分がこれまでやってきた研修は、これからも必要とされるのだろうか」という不安も抱えていました。
経験を重ねてきた一方で、現状に満足せず、自分の仕事を改めて見つめ直したい。そんな思いから参加したのが「創業実践塾」です。
10年目というキャリアがあるからこそ感じた「壁」。試行錯誤を経てたどり着いた「講師としての軸」とは何か。川北さんの歩みをご紹介します。
自治体の人材育成課から講師の道へ

村西: 本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。
川北さん:ALive 代表の川北麻紀です。現在は、企業や団体における人材育成・能力開発を目的とした教育・指導を主な事業としています。具体的には、研修・セミナー・講演などの受託・実施までを手がけています。
村西:どのぐらいの規模で研修をされているんでしょうか?
川北さん:規模はさまざまですが、基本的には中小企業さんで、ある程度人数がいらっしゃるケースが多いです。対象も新入社員・若手から管理職まで幅広く、内容もいろいろですね。
村西:具体的にはどういったことをされているか教えてください。
川北さん:最近特に多いのはコミュニケーション系の研修です。リモートワークの普及などで直接コミュニケーションを取らなくても仕事が回るようになったからこそ、認識のズレや方向性のズレが顕著になってきています。世代間ギャップの広がりや、「何か言ったらハラスメントと言われるから、当たり障りのない話しかできない」と指導がしづらくなっているという声も多いですね。
村西:確かに、ハラスメントと言われると指導しづらそうですね。
川北さん:はい。一方で、きちんとフィードバックがないと若手の成長につながりません。そういったボタンの掛け違いをほぐしていくような研修が増えていますね。キャリアデザイン研修も多くて、会社が敷いたレールを歩むだけでなく、自分のキャリアを主体的に切り拓いていく、自分で学んで自分で成長していくという自律的なキャリア形成を促すものもあります。

村西: そもそも川北さんがこの仕事を志したきっかけは何だったのでしょうか。
川北さん:講師になる前は地方自治体の人材育成課で、研修システムの作成やアンケート集計などの業務を担当していました。その中で、研修を通じて受講者の方が「よし、もう少し頑張ってみよう」と前を向き、一歩踏み出す姿を間近に見て、「こういう場を作る仕事って素敵だな」と感じていました。漠然としていましたが、何らかの形で研修、人材育成の仕事に関わりたいなと思ったのが、最初のきっかけです。
布団で寝られなかった下積みの1年間

村西:それがきっかけで講師の道へとつながっていったのですね。
川北さん:はい。その後、かねてよりご縁があった講師の先生が「講師養成講座」というセミナーをされると伺い、「あ、これだ!」とピンときて、迷わず受講しました。その講座で講師としてのイロハを学び、その後約7年間、研修講師として一から経験を積ませていただいたんです。期間満了もあったので、自治体の仕事はやめて退路を断ち、講師業界に飛び込んだという感じです。
ただ、研修講師としてデビューしてからの1年間は、期待に応えなければというプレッシャーに常に押しつぶされそうでした……、大げさではなく、1年間布団で寝ていなかったと思います。机に向かったまま仕事を続ける毎日でしたね。
村西:厳しい時期があったのですね。その後、独立された当時はお子さんが……?
川北さん:まだ4歳くらいの頃でした。出産の時は以前の職場に所属していましたが、女性が多く、出産の際も理解してくださる恵まれた環境でした。独立することで、余計に大変になるだろうという想像はできていました。
村西:そうなんですね。なぜあえて独立という道を選ばれたのでしょうか。
川北さん:前の職場では、すでに用意された研修のテキストや進め方をいただいて、それを自分なりにアレンジして提供するスタイルでした。ありがたい環境ではあったのですが、そこに甘んじていては「コンフォートゾーン」から抜け出せず、これ以上の成長はないと感じてしまって。もっと自分を伸ばしていかないと、10年、20年先を考えた時に未来が先細りしてしまうという思いがあって独立しました。

村西:将来を見据えた独立だったのですね。とはいえ、小さなお子さんを抱えながらの起業は、ご苦労も多かったのではないでしょうか。
川北さん:本当に記憶がないくらい大変でした(笑)。子どもを寝かしつけてから仕事をすることも多く、いつも睡眠不足でした 。特に育児中の女性に多い感覚かもしれませんが、当時は「仕事にも育児にも、どちらにも100%出し切れない」という葛藤を常に抱えていました。
村西:お仕事と子育てが重なった時期は大変ですよね。
川北さん:はい。それでも、やはり子どもが一番大切なので、悔いのない関わりをしたいという思いがありました。仕事中でも子どもが声をかけてきたら、ちゃんと向き合う。正直、完璧にはできていなかったかもしれません。でも、「お母さん、寂しい」と言われないように、自分なりに娘との時間を大事にしたいと思っていました。
村西:仕事とプライベートのバランスを保つ秘訣はありますか。
川北さん:私は仕事も一生懸命、プライベートも思いっきり楽しむ、というメリハリを大切にしています。意識して楽しく過ごせる時間を持つようにしています。とはいえ、やっぱり永遠のテーマではあって……。子どもが大きくなった今はずいぶん自分の時間も持てるようになりましたが、小さい頃は本当に大変でした。
「何もまとまっていない!」中間発表での焦り

村西:「創業実践塾(ひらっく)」に入塾されてみて、実際いかがでしたか。周りはこれから起業される方が多い中、すでに10年目という実績がある川北さんは珍しいケースだったと思います。
川北さん:はい、講義内容についても、新しい知識を吸収しながらも、これまでの経験の「復習」がてらお聞きすることもあって、再確認する意味でも勉強になりました。
村西:大変だったことはありましたか?
川北さん:「生みの苦しみ」というか、自分の軸も不明瞭になってきて迷走したことでしょうか。創業実践塾では各分野の先生方から、マーケティングや今後の環境変化など、多くの学びがありました。あらゆる可能性を模索するほど混沌としてきてしまって…「確かにそういう考え方もあるな」「いや、でもこうじゃないか」と考えるうちに、混乱状態に陥っていました。
村西:情報を得たからこその迷いですね。
川北さん:そうなんです。様々な情報が入ってくる中で、「そもそも自分の研修事業は本当に必要なのだろうか」という葛藤が生まれて、未来を描けない状況でした…今思えば、短期的な視点で考えるべきことと、長期的な視点で考えるべきことが混在し、混乱していたように思います。 そんな、頭の中が整理しきれていない時期に、ちょうど塾の「中間発表」のタイミングが重なってしまったんです。
村西:それは、一番焦るタイミングですね。
川北さん:はい、「まだまだ漠然とし過ぎている」と本当に焦りました。ただ、自分の軸を明確にして事業の方向性を定めるためには、とことん悩む時期が必要なのだという気持ちもありました。 未来への答えがないからこそ、自分なりに事業を通して実現したい軸がないと、ブレてしまうのかな、と思います。
背中を押してくださった先生の言葉

村西:そこからどのようにして抜け出したのでしょうか。
川北さん:大きく救われたのは、講師陣との個別セッションでした。創業実践塾では全体講義とは別に、Zoomで個別にセッションしていただける機会があるんです。私は田川先生や佐原先生にセッションしていただきましたが、 より個人にフィットしたお話をしていただけるので、自分がやりたいこと、やりたくないことが明確になりました。
村西:個人セッションだと気兼ねなく聞けて良いですね。
川北さん:そうなんです。視野が広がるきっかけになりました。そしてもう一つ、私の背中を押してくれたのが、堀越先生の言葉です。
村西:どのような言葉だったのですか。
川北さん:授業で未来の環境変化について受講した時に、「私の仕事は必要なんだろうか」と不安になり、授業の後に先生のところへ相談に行ったんです。そうしたら、先生は「いや、大丈夫。こういうアプローチもあるでしょ」と、ポンと背中を押してくださって。「そうか、そう考えたらいいんだ」と今後の展開の参考になりました。不安を取り除いてもらって、嬉しかったですし、人前で登壇される方のあり方も学べたなと思いました。
村西:というと?
川北さん:危機感を醸成するだけではなく、希望を持たせてもらえて背中を押してもらえる。まさに一歩前に踏み出す機会を作るというところまでするのが、前で立って話をする講師のあり方だなと感じました。
創業塾の外でも同期と交流!忘年会では大笑い

村西:創業実践塾の同期の皆さんとの交流はいかがでしたか。
川北さん:前向きな方ばかりなので、やりとりを通して元気をもらいました。普段はあまり接点のないような、異なる業界や職種の皆さんでしたが、何歳になっても同期っていいなと思いますね。フラットで仲間になれるというか…。
村西:すでにすでに10年目という実績がある川北さんから見てもですか?
川北さん:はい、もちろんです。授業中、同期の Shima さんが積極的に質問してくださったりして、刺激を受けていました。今もLINEグループで「こういう時どうしてますか?」「こんな講座ありますよ」などとみんなで活発に情報交換をしていて、日々励みになっています。

村西:講座が終わってからも、オン・オフ問わず交流が続いているんですね。
川北さん:そうなんですよ!年末には同期メンバーのオフィスで忘年会を開きました。一人の方がゲームを持ってきてくれて、みんなで子どもみたいにガハガハ笑いながら過ごしたりとか。本当に良い仲間にご縁をいただけたことが、創業実践塾に参加して良かったと思えることの一つですね。
村西:そういったつながりが、これからも続いていくのですね。
一人でも多くの人が前向きでいられるために

村西:改めて今後の展望ついて教えていただけますか。
川北さん:私の理念ですが、「一人でも多くの人が笑顔で幸せに働ける社会を実現したい」、この思いはずっと変わっていません。人はそれぞれ素晴らしい強みや特性を持っていて、本来ならその力が皆さんに備わっているはずなんです。研修などのアプローチを通して、その力を発揮するための「一歩を踏み出すきっかけ」づくりに、これからも携わっていきたいと思っています。
村西:川北さんは研修の現場で、職場の人間関係のすれ違いなどにも深く寄り添っていらっしゃいますよね。
川北さん:そうありたいですね。職場で何か問題が起きていたとしても、うまく噛み合っていないだけだったりします。だからこそ、それをうまく解きほぐして、みんなが前向きに、笑顔で働ける環境づくりのお手伝いをしたいと思っています。

村西:ありがとうございます。それでは最後に、これから起業を考えている方や、新しいことへの挑戦をためらっている方へ、メッセージをお願いします。
川北さん:「まず行動すること」、これが大切だと思います。私自身も研修でよくお伝えするのですが、一歩踏み出さないと、結局何も変わらないんですよね。でも、一歩前進すれば、必ず何かが変わります。
村西:一歩前進すれば、必ず何かが変わる。力強い言葉ですね。
川北さん:私が通った創業実践塾も、前向きな場なので、一歩そこに足を踏み入れるだけで、未来に向けて歯車が少しずつ動き出すと思います。やりたいことがまだ明確でなかったり、「私なんて」とためらったりしている方もいらっしゃると思いますが、ぜひ勇気を出して、まずは一歩踏み出してみてほしいと思います。
影響を受けた映画は「ライフ・イズ・ビューティフル」

村西:インタビューの最後に、これまでに影響を与えた本や映画などがあれば教えていただけますか。
川北さん:映画でも良いでしょうか。2つあって、1つは「ローマの休日」、もう1つは「ライフ・イズ・ビューティフル」です。
村西:「ローマの休日」は不朽の名作ですね。
川北さん:はい。もうただただオードリー・ヘプバーンが可愛くて、見ているだけで幸せな気持ちになれるので、昔からずっと好きな作品なんです。

村西:では、もう1つの「ライフ・イズ・ビューティフル」は、どういったところに影響を受けられたのでしょうか。
川北さん:こちらは過酷な戦争下のお話なんですが、親が子どもに戦争の辛さをそのまま見せるのではなく、ゲームのように見立てて乗り越えようとするんです。どんなに過酷な環境の中でも、子どもに「光」や「希望」を見せ続けられるって、本当にすごいことだなと感じました。
村西:どんな状況でも、希望を見せる……。川北さんが先ほどおっしゃっていた「研修で一歩踏み出す機会を作る」というお話にも通じますね。
川北さん:そうなんです。私自身も、これまで生きてくる中で不安があったり希望が見えない状況の時、様々な人達 に光や希望を見せてもらいました。人って、希望がないとなかなか一歩を踏み出せないと思うんですよね。
村西:希望があるからこそ、前を向いて動けるのだと思います。
川北さん:だからこそ、私もこの映画の親のように、どんな困難な状況にいる人に対しても「光や希望を見せられる存在でありたい」と思っています。そういう意味で印象に残っている映画です。
村西:川北さんのその言葉が、今日のお話全体の軸だと感じました。本日はお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。
川北さん: こちらこそありがとうございました。

編集後記
今回の取材で印象的だったのは、豊富な経験を積まれた川北さんであっても、社会の変化に向き合いながら、ご自身の事業を改めて見つめ直しておられたことです。創業や事業の見直しは、決して一人で完結するものではなく、学びや対話を通じて輪郭がはっきりしていくものなのだと感じました。ひらっくやきらら創業実践塾が、そうした一歩を支える場であることが、今回のお話からよく伝わってきました。
文:大澤リサ
