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2026.10.10
オキゴルフ 隠岐博一さんにインタビュー【創業相談インタビュー】
オキゴルフ
隠岐博一さんに
インタビュー
【ひらっく創業相談インタビュー】

話し手
話し手 隠岐 博一さん/OKIGOLF代表
52歳。ゴルフのほか、写真撮影やDIYなど、自分で工夫しながら形にしていくことが好きです。新しい道具や技術にも関心があり、気になったことはまず調べて試してみるタイプ。うまくいかない時も原因を考えながら改善を重ねることを大切にしています。人との出会いや会話から新しい気づきを得ることも多く、そうしたつながりを楽しみながら日々取り組んでいます。

経営指導員
高崎健太(地域活性化支援センター管理部管理課ひらっく)
某金融機関で13年間勤務後、北大阪商工会議所に入所。創業・経営相談を通してビジネスモデルや資金調達、マーケティング戦略、事業計画書の助言を行う傍ら、ひらっくのコミュニティマネージャーとしてイベントや企画運営に携わり、インキュベートルームの担当も行っている。

聞き手
村西朱夏
ひらっくスタッフ。受付業務をしながら、施設の紹介、シェアオフィス会員をはじめとした利用者さまへのインタビューなど、つながる場と機会を作っている。オシゴトークをはじめとした交流イベントの企画や月刊ひらっく新聞なども担当。
書き手
大澤リサ(さわ/フリーランスライター)
企業の取材・インタビュー記事を軸に、採用・広報コンテンツなどを執筆している。強みは、聞き手として相手の言葉を引き出し、話すだけで広報・採用に使える文章へ落とし込むこと。自身もひらっくを利用し、経営相談などを通じてサポートを受けている。
経営相談利用者にインタビュー 
ひらっくの経営相談は、創業や新規事業の立ち上げ、法律・税務・労務・ITなど、経営上のさまざまな疑問や悩みについて相談できるサービスです。「一度誰かに相談してみたい」「他の人の客観的な意見やアドバイスを聞いてみたい」と思われたときに無料でご利用いただけます。
相談内容をスタッフがお伺いし、内容により専門のアドバイザーと協力して対応いたします。原則ひらっくでの窓口相談になりますが、枚方市役所での相談、貴社に訪問しての相談やオンライン相談も可能です。
なお、専門家相談の相談員は常駐ではありませんので、必ずご予約をお願いします。まずはお電話等でご連絡ください。
今回は、ひらっくの経営相談を利用し、インドアゴルフ練習場「OKIGOLF(オキゴルフ)」の開業準備を進める隠岐さんにお話を伺いました。

半導体エンジニアとして20年近く働き、50歳で会社を辞めた隠岐さん。好きなゴルフを仕事にすると決めたものの、天井の高さが必要なインドアゴルフならではの物件探しに半年、融資の返事を待つ落ち着かない日々を過ごしたそうです。
文系からエンジニアになった経歴、インドアゴルフ店の店長として過ごした1年、ひらっくで受けた支援、そして無人化が進むインドアゴルフの世界で「人と話せる店」をつくりたい理由について伺います。
文系から半導体エンジニアへ、そして50歳で退職

村西:まずは、自己紹介と簡単なご経歴をお願いします。
隠岐さん:九州の福岡出身で、大学が関西外大です。私たちの頃はバブルがはじけて就職難の時期で、思うように就職ができなかったんです。学生時代に居酒屋のアルバイトで接客をしていて、お客さんと話すのが好きだったのと、当時は車が好きだったので、卒業後はカー用品店で販売の仕事をしていました。手作業も好きなんで、ピットで作業したりもしていました。
村西:カー用品店から、エンジニアになられたんですよね。どういう流れだったんですか?
隠岐さん:性格的に、やりだしたらとことんやるタイプなんです。車を改造して、昔は峠道に走りに行ったりする時代やったんですけど、それでは飽き足らずに、サーキットでレースをやってみようと。レース用のレギュレーションに合わせて安全装備をつけたりとか、自分で車を作ってレースに出るようになりました。
そのレースで仲間ができて。私がちょうど前の仕事を辞めたタイミングで、製造業をやっているレース仲間の先輩が「うち来いよ」と声をかけてくれたんです。完全に文系だったんですけど、その時に理系の会社に入りました。

村西:実際にやってみて、いかがでしたか?
隠岐さん:結構合っていましたね。外大には行ったんですけど、もともと中学・高校のころは数学や理科が好きで。ただ、周りは理系の人ばっかりで、苦労はいっぱいしました。
半導体の製造装置や検査機の仕事で、最初の10年は関東の会社、そのあと転職して京都の会社に移りました。
村西:そこから、50歳で会社を辞められたんですね。
隠岐さん:50歳になった時に、定年や定年後のことを考えだしたんです。このまま会社にいて、65歳で辞めてから何かやりたいことをするのは難しいかなと。50という節目もあったし、家族のこととか、環境もいろいろ変わってくるので。
村西:考えるきっかけになった出来事はあったんですか?
隠岐さん:上司が60歳、65歳になっていくのを見ていて、日常的にモヤモヤしていたんです。自分もそうなるのかって。
部長が定年になって嘱託になると、同じ仕事をしているのに給料は思いっきり下がる。それやったら、もっと好きなことをやった方がいいやんと思うんですけど、その人も辞めるに辞められない状況になっていたりして。
村西:ゴルフに出会ったきっかけはなんだったんですか?
隠岐さん:ゴルフは昔から知ってはいたんですけど、やるきっかけがなかったんです。エンジニア時代の上司に「隠岐くんもゴルフやってみたら」と言われて、その一言で「じゃあやってみます」と。
それからゴルフが好きになって、好きなことを仕事にしたいと思って会社を辞めました。そしたら、たまたま縁があって、インドアゴルフのお店で1年間、店長をすることになりました。
張り紙を全部外した店長の1年

村西:インドアゴルフがどういうものか教えていただけますか?
隠岐さん:打ちっぱなしってわかります?外でやる練習場なんですけど、それを室内でやるイメージです。
ボールをクラブで打つ瞬間を映像やレーダーで捉えて、こういうふうに当たったならこういう回転で、これだけ飛ぶよね、というのをパソコンで計算させて、モニターやプロジェクターの大きなスクリーンに映すんです。
卓球でも、擦ったら曲がっていくじゃないですか。ゴルフも一緒で、こう擦れば左に曲がるし、逆なら右に行く。そういうのを計算してくれるんです。
村西:コースを回るのも、擬似的にできるんですね。
隠岐さん:そうです。打ったボールが砂の中に入った、林に入ったというのもできるので、ただ打つだけじゃないのがシミュレーターのいいところです。
村西:店長をされた1年は、どういうお仕事をされていたんですか?
隠岐さん:もともと独立したいということで働き始めたんです。業務委託の1年契約で、オーナーにも、長く働くというよりも、経営とか、運営とか、いろいろ試して勉強してくれたらいいよと言ってもらっていました。
それで損益計算書を見せてもらって、経費を一個一個見ながら、いろいろ提案していきました。

村西:どんなことに取り組まれたんですか?
隠岐さん:細かいことですけど、例えばトイレ掃除ひとつとっても、常にかなり綺麗にしていました。
あと、座席のまわりに「こうしてください」「こうしないでください」という張り紙がいっぱいあったんですよ。でも、そういうのって、ちゃんとする人は読むけど、ちゃんとしない人は結局読まないですよね。
ちゃんとしない人にだけ個別に注意する方が、みんな気持ちよく使えるやろうと思って、全部外しました。
イベントも、室内だけじゃなくて。私も自分のゴルフのレベルを上げるためにゴルフ場に行くので、それやったらお客さんも一緒に来たらいいやん、と。
普段あまりしゃべれないお客さんとも話せて、「もうちょっとこうしてよ」「こんなん考えてくれへん?」という声を聞きながら、いろいろ改善していきました。
お客さんにはすごく好評で、「革命を起こしてくれた」と言ってもらえました。

村西:経営に関わるのは、そこが初めてだったんですか?
隠岐さん:前の会社のひとつの部門で管理職をやっていて、売上がどうあって、経費をどう使って、利益がどれだけ残るかということは日々やっていました。
経営という意味では、基本的に一緒かなと思います。結局、売上と経費しかないので。
ただ、前はB to B、会社同士だったのが、今度は個々のお客さんが相手になります。お客さんの反応って一人ひとり違うので、そこは難しいというか、よく考えてやらないといけないんです。
話しかけたら楽しくしゃべってくれるお客さんもいれば、そっとしといてほしいという方もいますから。
村西:もともと外大のご出身と聞いていたので、コミュニケーション面ではあまりハードルはなかったのかなと思っちゃうんですけど。
隠岐さん:そうですね、割と得意かもしれません。
天井3m・100平米、枚方で物件探しに半年

村西:創業するにあたって、一番の課題は何でしたか?
隠岐さん:物件探しです。インドアゴルフは長いクラブを使うので、高さがないと天井にぶつかるんです。また、ある程度の広さも必要です。
それに、大家さんにとっても「インドアゴルフって何?」というところからスタートなんです。喫茶店をやりたいと言えば、大家さんも「こういう工事が必要なんやな」とイメージがつくんですけど、インドアゴルフはわからない。
実際に心配されたのは騒音ですね。音がするので。冒険するなら他の人に貸した方が、となるみたいで、断られることもありました。
村西:物件が決まるまで、どのくらいかかったんですか?
隠岐さん:2月に探し始めて、高崎さんにも紹介してもらったりしたんですけど、契約したのが8月。半年かかりました。
家賃を抑えたいので、この家賃でこの広さとなると、まず出てこないんです。出てきても天井が低いとか。実際に見に行けたのは10軒ぐらいです。
村西:決めた物件は「ここだ!」という感じでしたか?
隠岐さん:いえ、妥協もありました。1階がいいとか、駐車場が目の前にあるとか、条件はいろいろあったんですけど、実際に借りたのは2階で、駐車場もまだないので、どうしようかとこれから考えるところです。
やらせてもらえるところで、ないところは補いながらやっていくしかないかなと。広さと高さが最優先なので、100平米、天井は3メートルぐらいの物件を借りました。
村西:物件は、最初から枚方で探されていたんですか?

隠岐さん:はい、枚方で探しました。ゴルフの環境が枚方はすごくいいんですよ。
河川敷のコースもあるし、山のコースもあるし、練習場やゴルフ用品店もいっぱいある。枚方のゴルフショップは4、5店舗ぐらいで、たぶん寝屋川は1店舗、高槻も2店舗ぐらいなので、多いと思います。
それと、私自身がゴルフ場やゴルフ用品店とつながりがあるのも大きいです。
もっと敷居を下げて、いっぱいゴルフを始めてほしいんですけど、小さなお店で一人でやっても、できることは限られます。
お店にクラブを貸してもらったり、ゴルフ場にまずは安く回らせてもらったり、という協力体制も作りやすいかなと。
今は枚方に引っ越してきたんですけど、それまでは茨木に住んでいたんです。でも、生活の環境や周りとの連携を考えると、枚方の方がいいなと思って。
村西:逆に、枚方で起業するデメリットはありますか?
隠岐さん:あんまり感じたことはないですね。物件探しは大変だったので、他の地域ならもっとスムーズにいったのかな、とは思いますけど、他ではあまり探していないので、そこはわからないです。
村西:今、直面している課題はありますか?
隠岐さん:工事がまだ始まらないことです。最初は物件が7月ぐらいに空くという話だったんですけど、まだ入れない状態です。早くオープンしたいんですけどね。
気持ちだけでは、お金は借りられない

村西:ひらっくを知ったのは、いつ頃ですか?
隠岐さん:去年の6月か7月ぐらいです。創業のことをいろいろ調べていたら、たまたま特定創業支援等事業が出てきて、調べて問い合わせました。もともとは、補助金とか、資金のところを期待していたんです。
高崎:隠岐さんはEラーニングで4講座を受講していただいて、枚方市の「特定創業支援等事業の証明書」を交付した際に、初めてお会いしました。それが去年の12月です。
村西:Eラーニングには、テストもあるんですか?
高崎:4講座とも、70%以上の合格点が必須なんです。
隠岐さん:それが全然合格しなくて。なんであんなに難しかったんですかね。たぶん私の問題で、普通は1回で合格すると思います。
村西:Eラーニングで学ばれたのは、どういった理由からですか?
隠岐さん:あの時は、すぐに受けられるものが他になかったんです。
高崎:はい、枚方市に何かしら関係している事業者さんであれば、今日からでも受けられますよ。Eラーニングは、いつでも受けられるので。

村西:実際に高崎さんに会ってみて、印象はいかがでしたか?
隠岐さん:最初から話しやすくて、親身に相談に乗ってもらったという感じです。ひらっくとか商工会議所って、ちょっと固いイメージがあったんですけど、逆でした。
高崎:本当ですか?それは嬉しいですね。
隠岐さん:やりたいことや、やりたい動機がはっきりしていたので、創業計画書のそこの部分は一人で書けるんです。でも一番大きかったのは、お金のこと。融資を受けられるまでのところです。
正直な話、私が創業計画書を自分で書いて銀行に持っていっても、たぶん却下されたと思います。だから、事業ができるのは高崎さんのおかげやな、というのはあります。
村西:融資を通すために、どこをブラッシュアップされたんでしょうか?
隠岐さん:気持ちだけでは、お金は借りられないんですよね。銀行がどういうところを見て、どう判断するのか、私にはわからない。
思いはどうであっても、お金を貸すというのは、ちゃんと返す見込みがあるかどうかが見られます。はっきり言って、将来のことなんてわからないじゃないですか。それをどういうふうに見せるか、アドバイスをいただきました。

村西:金融機関が見ているポイントは、どこなんですか?
高崎:創業融資の段階では、経験と自己資金の2つが重要視されます。経験というのは同業種の経験です。例えば私がいきなり喫茶店をやると言っても、なかなかできないですよね。
最低1年以上の経験、できるだけ年数が多い方が、成功する確率も高くなるだろうと見られます。
そのうえで、運転資金や設備資金の妥当性が関係してきます。隠岐さんには、まず売上と利益の見通しを聞いて、そこから逆算して「これだけ運転資金がいりますよ」とアドバイスさせてもらいました。
たぶん隠岐さんの中では「そこまで資金がいるのかな」というところもあったと思います。これぐらいならできるやろうと思っていても、蓋を開けたら、お客さんがつくまでには時間がかかるんですよね。
そのときに「もうちょっと資金があったら」と思わないように、運転資金の妥当性をつけて申請しましょうとお伝えしました。
村西:誰から見ても、数字でうまくいくと見えることが大事なんですね。

高崎:隠岐さんに限らず、皆さん共通だと思います。ご自身の中での資金調達と、私たちがお話しする資金調達には、結構乖離があることが多いですね。
ご自身の意見だけで資金計画を決められた方ほど、創業して1年経たずに、もう一度ひらっくに来られることもあるので。私たちの意見も、うまく取り入れていただけたらと思っています。
隠岐さん:金融機関の担当の方とも、密に連絡をとってもらいました。私が話してすぐに「こういう話があるので」と銀行側に伝えてもらっていて。こちらはまだ物件を探している段階なのに、融資の話だけが先に進んでいたくらいです。
高崎:できるだけ、前さばきは私の方でさせてもらっていました。物件が決まってから「金融機関に相談してください」という流れだと、なかなか前に進まないと思ったんです。
なので、物件を探している段階から金融機関さんにはその旨をお伝えしておいて、決まり次第すぐ動けるようにしていました。
隠岐さん:先に金融機関さんに伝えておいてもらえたのは、事業を確実に進める上でかなり大きかったですね。
「前向きに検討します」を待つ日々

隠岐さん:これから創業する方にぜひ伝えたいのが、融資の審査を待つ時間はすごく長いということですね。
高崎さんに聞いたら「大丈夫です」と言われるんですけど、銀行から「貸せません」となったら、事業はできないじゃないですか。その間、アクションできないのか、どこまでやっていいのかわからなかったと思います。
村西:そわそわしますね。
隠岐さん:融資の可否を「8月14日までに返答します」と言われていたのに、結局月末まで返事がなかったりとか。
騒いでもどうしようもないことなんですけどね。今はもう着金もあったので大丈夫なんですけど、その間の時間の余裕、気持ちの余裕、お金の余裕というのは本当に大事です。
村西:家で毎日お金のことを考えたりするかんじでしたか?
隠岐さん:もう、それは今でもそうです。今度は物件に入れないので、進められることがない。これは試されてんのかなと思いますね。
細かい話ですけど、不動産の契約をすることが融資の条件なんです。お金がないから借りるのに、まずは自分のお金で契約する。そのあとで「ダメです」と言われたらどうするの、と。
高崎さんからは「もう動いてもらっていいですよ」と言われていたので、それを信じて動けたんですけど、そうじゃなかったら、かなり怖かったと思います。
銀行に確認の連絡をしても「前向きに検討させていただきます」なんですよ。どっちか決めてほしい。ダメならダメと言ってくれれば次のアクションもできるのに、最後まで「前向きに検討します」。
銀行としても、いけますよと言って最後にダメだったら責任になるので、立場は理解できるんですけどね。

高崎:時間が経ってから「ダメでした」となったら、次の時間もなくなってしまう。そこは僕もすごく大事だと思っているので、ひらっくとしては、さっきの前さばきの段階で、できるだけ白黒をつけるようにしています。
隠岐さん:とはいえ、高崎さんは銀行さんじゃないですからね。最後に「ダメでした」と言われたら、それで終わりでしょ。だから本当にお金が入ってくるまでは、何とも言えない。不安はありましたよ。
高崎:そこはありますね。生の意見だと思います。
隠岐さん:でも、そうやって言ってくれているのは、いい加減に言っているわけじゃないと思いますし、それを信じれば、ちょっと気持ちも楽になれました。
一人でやっていたら、本当に8月末に「借りられませんでした、どうしよう」となっていたパターンもあったかもしれません。
村西:高崎さんとは、どんなふうにやりとりされていたんですか?
隠岐さん:よく電話をくれました。
高崎:そうですね、電話でもよく話しましたし、コワーキングで、計画書も含めてよく一緒にやりましたよね。
隠岐さん:電話をもらえたのは、すごく嬉しかったし、気持ち的にも楽になりました。こちらからは「忙しいかな」と気を使って、なかなかかけにくいんですよね。
でも、かかってきたら「今こういう状況です」と話せるし、逆にこちらからもかけやすかったです。
無人の時代だからこそ、人と話せる場所を

村西:オキゴルフで一番大事にしたいことは何ですか?
隠岐さん:これから始める人のハードルを下げることです。ゴルフって、高そうなイメージがありますよね。お金をかければいくらでもかけられるし、高いものもいっぱいあります。
何十万もかけて、ようやくそこからスタート、となるとハードルが高いじゃないですか。今着ている格好で行けますよ、となれば、ちょっとやってみようかなと思えますよね。
私も最初は、友達にクラブを安く譲ってもらったりしましたし、ウェアも最近はユニクロやワークマンで買えるんですよ。
だから、お店にレンタルクラブも置こうと思っています。とりあえずやってみる。面白ければもっと練習したり、自分で買ったりすればいい。最初のハードルを低くしたいんです。
村西:ウェアがユニクロで揃うのはいいですね。専門店で揃えないといけないイメージがありました。

高崎:ちなみに、クラブって、全部で何本あるんですか?
隠岐さん:ルールとしては14本まで入れていいんですけど、全部は必要ないです。私もコースによっては7本ぐらいで回ったりしますし、最初は5本ぐらいでも。
ゴルフ場にはだいたいレンタルクラブがありますし、楽器と同じで、持っているけど何年も使っていない、という人も周りにいると思うので、聞いてみたらいいと思います。
中古でも十分ですよ。金属なので、あまり消耗するものでもないですし。
靴も、今日は普通のスニーカーです。まずはスパイクのないスニーカーでいいと思います。やっぱり滑るな、ちゃんとしたのが欲しいなと思ったら、買えばいいんです。
村西:初めての人が来やすいように、オキゴルフではどんな工夫をされる予定ですか?
隠岐さん:一番は、話をして安心してもらうことかなと。インドアゴルフは今流行っているんですけど、スマホで入退室できて、無人でも運営できますよ、というのを売りにしているところが多いんです。
最初に箱さえ用意すれば、固定費以外はあまりかからないので回収しやすい、という副業的なビジネスモデルですね。
でも、特にゴルフをする人は、人とのコミュニケーションを取りたい人も多い。前の店でも、なるべく店に立ってお客さんと話していて、そうすると安心してくれる人も増えていきました。
クラブがあります、シミュレーターがあります、初心者も来やすいです、勝手にやってくださいね、と言っても、長続きしないと思うんです。
村西:無人のお店は、多いんですか?
隠岐さん:多いですね。ゴルフだけじゃなくて、トレーニングジムとかも増えましたね。一人で黙々としたい人もいるとは思うんですけど。
最近は、スマホで何でも完結しますよね。ものが欲しいなと思えば、翌日には玄関の前に置かれている。人に会わず、しゃべらずに、ものが手に入る。
その裏返しで、人としゃべりたいという欲求がみんなあると思うので、そこを満たせる場所があればいいなと思っています。
村西:お話を聞いていたら、行きたくなってきました。

隠岐さん:でも、やりだすとうまくいかないんで、「クソッ」ってなりますよ。
村西:スポーツですね。
隠岐さん:スポーツです(笑)。
村西:お店のサイトにある撮影システムについても教えてください。
隠岐さん:シミュレーターとは別に、打つときのフォームを自分で見て確認しながら練習するために、前と後ろにカメラを置いて、スイングを撮影して表示させるものです。
世の中に売ってはいるんですけど、結構な値段がするんです。私は半導体の検査装置で、カメラを使ったりアプリを開発したりしていたので、時間がある今、自宅で開発しています。
そうすれば値段も抑えられるし、好きなようにできるので。
村西:逆に、それが売れそうですね。
隠岐さん:インドアゴルフのお店に売るB to Bのビジネスもいいですね。AIでスイングしている人の骨格を出して、比較したりもできるんですよ。
チラシの裏の「おっきー」

高崎:チラシの後ろに「おっきー」って書いてありますね。ここは譲れないところですよね(笑)。チラシは、ご自身で作られたんですか?
隠岐さん:そうなんですよ。
村西:オキゴルフの名前の由来はなんだったんですか。
隠岐さん:名前はいろいろ考えたんですけど、世の中のお店の名前って、わかりにくい、読みにくいことが多いじゃないですか。これ英語でなんて言うの、とか。なので、わかりやすくシンプルにしました。でも、ちょっと何屋さんかわかりにくいかな、というのはあるかも。
村西:ゴルフショップかなと思っちゃいました。でも、ゴルフができるところなんだなと。
隠岐さん:ゴルフに関係することさえわかれば、まあいいかなと思っています。
自己資金があっても、借りた方がいい

村西:今後、ビジネスで達成したい目標はありますか?
隠岐さん:うまくいって、2店舗目、3店舗目とかですね。あとは、年齢も52なので、ここから20年、30年というのはできないと思うんです。人に託したいな、というのはありますね。
村西:これからひらっくの経営相談を受ける方に、アドバイスをお願いします。
隠岐さん:とにかく、まずは相談した方がいいです。それと、ちょっとずれるかもしれないですけど、自己資金が十分にあって、開業資金に足りるとしても、私はお金を借りることがすごく大事だと思っています。
村西:それは、どういうことですか?
隠岐さん:お金を借りるということは、人に、自分がやることを認めてもらうということなんです。ふわっとしたことでも、人に見てもらって認めてもらうと、自分の中でもはっきりクリアになります。
借りると返さないといけないというプレッシャーもあるし、真剣度も変わります。貯金に余裕があって、なくなってもいいやと思っているのと、借りて返さないといけないのとでは、違うと思うので。
特にお金のことは、ひらっくで相談してやるのがいいですね。自分がやりたいことをやるために、どういうことをやっていく必要があるのかをしっかり相談して、任せられることは任せた方がいいのかなと思います。
村西:隠岐さんはどこまで事業内容が固まった時点で相談に来られたんですか?

高崎:初めてお会いしたときは、まだ事業計画書は書かれていなかったと思います。面談してから計画書を作成しましょうという話になって、いろいろお話ししながら固まっていって、最後は物件、という流れでしたね。
隠岐さん:気持ちははっきりしていました。思いがあるのであれば、まずは相談したらいいと思います。
村西:確か最初に相談されたのは、補助金がきっかけだったんですよね。
隠岐さん:そうですね。ひらっくを見つけたのも、補助金とか資金のところがきっかけで、それを期待していました。でも、期待以上の結果だったと思います。
高崎:隠岐さんのように、ほとんどの方が最初は補助金のご相談なんです。もちろん最終的には補助金もご利用いただきたいんですけど、補助金は下りるまでに自己資金で先に払わないといけないので、創業の段階では、ちょっと使いにくい面もあります。
なので、方向性としては逆ですけど、まずは資金調達面をご提案して、そのお金の中で補助金を考えるのがいいのかなと。そこは意識を変えていただくのもいいと思います。
隠岐さんもまだ補助金は申請されていないので、機会があれば一緒にできたらと思っています。
隠岐さん:伝えたいことがあれば、どんどんひらっくに行って、高崎さんに相談してください、ということですね。
おまけ:バタフライエフェクトと、朝のゴミ拾い

村西:最後におまけで、最も影響を受けた本や映画などがあれば教えてください。
隠岐さん:最近は本を読まないんですけど、「バタフライエフェクト」ですね。
村西:どこかで蝶が羽ばたくと、地球の裏側にも影響がある、というお話ですよね。
隠岐さん:そうです。小さなことでも、どこかに大きな影響を与える、という考え方です。
村西:ご自身も、そういうことをしていきたいですか?
隠岐さん:そうですね。私、たまに朝、散歩しながら一人でゴミ拾いをしているんです。それで世の中が良くなればいいなと思うんですけど、どんだけゴミ落とすねん、っていう(笑)。
村西:朝のゴミ拾いをお一人で続けるのは、なかなかできることじゃないですよ。小さなことでも、続けていくことで大きな影響が起こる。そんなひとつひとつを大切にされる隠岐さんのお店だからこそ、オキゴルフが誰にとっても温かい空間になるんじゃないかなと思います。
インタビューは以上となります。本日は貴重なお話をありがとうございました。

【店舗情報】
OKIGOLF(オキゴルフ) 所在地:大阪府枚方市東田宮1丁目11-33 東田宮アクセスビル2F-201
Web:https://okigolf.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/okigolf_official/
編集後記
「気持ちだけでは、お金は借りられない」。隠岐さんのこの言葉が印象に残りました。銀行が見ているのは、具体的な数字に裏づけられた実現性。自分が貸す側の立場になって考えれば、それも当然のことだと思います。
「前向きに検討します」の返事を待つ間の隠岐さんの気持ちは、実際にその立場になった人だからこそのリアルな声。痛いほどわかります。そして、そうした不安に向き合ってくれるのが、ひらっくの職員さん。本当に頼もしいなと思いました。
